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屋久島地杉の研究結果
屋久島地杉の成分と機能性についての研究結果
屋久島地杉の研究結果(コンテンツ)

九州大学農学研究院環境農学部門サスティナブル資源科学講座

株式会社TESホールディングス

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「屋久島に自生する杉(地杉)のカスケード的利用法の探索」

九州大学農学研究院環境農学部門サスティナブル資源科学講座

1)地杉精油およびハイドロゾルの香気成分分析

2)地杉精油、ハイドロゾル、蒸留残渣と蒸留廃液の生理活性

※ハイドロゾル=アロマウォーター、蒸留残渣=ブレスチップ、蒸留廃液=ディープウォーター

屋久島地杉の各部位から得られた精油、ハイドロゾルの香気成分を分析した上で、精油、ハイドロゾル、および、それらを抽出した後の残渣と廃液について、各種の機能性を試験した。

地杉の部位は枝葉、枝、葉、幹。それぞれの部位から水蒸気蒸留法によって抽出された精油とハイドロゾルを分析し、ガスクロマトグラフ-質量分析計によって揮発性成分の種類と割合を特定した。

各種機能性試験は、精油、ハイドロゾルをそのまま用い、残渣は粉砕した後にメタノール抽出した濃縮乾固物、廃液は凍結乾燥物を用いて、抗酸化活性、抗菌活性、メラニン生成抑制活性を調べ、残渣の凍結乾燥物で消臭効果を調べた。

精油およびハイドロゾル香気成分の分析結果

精油に含有される香気成分は、葉部でモノテルペン類が多く、枝部は葉部に比べてセスキテルペン類が増え、幹ではセスキテルペン類、セスキテルペンアルコール類が多い。全ての部位に共通してツヨプセンが約10%含まれている。

一方、ハイドロゾルは全ての部位においてモノテルペンアルコール類、セスキテルペンアルコール類、アルコール類がほとんど。精油とはまったく異なる成分構成を持つことがわかった。

精油およびハイドロゾル香気成分の分析結果|葉|枝葉|枝|幹

総フェノール量の計測結果(フォリン-チオカルト法による)

総ポリフェノール量は、精油およびハイドロゾルではほとんど検出できなかったが、残渣や廃液には多く含まれていた。さらに葉や枝葉は残渣に多く幹は廃液に多いことから、別種のポリフェノール類であることが考えられる。

総フェノール量の計測結果(フォリン-チオカルト法による)

抗酸化活性

ハイドロゾルは活性を示さなかった。

精油はORACでわずかに活性を示したが他の評価法では活性がなかった。

残渣のメタノール抽出物や廃液の凍結乾燥物は一定程度の活性を示した。ORACでは残渣-枝が最も高く、次いで枝葉と幹。DPPH、ABTSでは残渣-葉が最も高く、次いで残渣-枝葉と廃液-幹。SOSAでは、廃液-幹と残渣-幹が高かった。

抗酸化活性|葉|枝葉|枝|幹|ORAC|DPPH|ABTS|SOSA

抗菌活性

精油では、大腸菌に対して枝葉が、黄色ブドウ球菌に対して葉と枝葉が活性を示した。

残渣では黄色ブドウ球菌に対する強い活性が見られ、特に幹の活性が強い。

ハイドロゾルと廃液では抗菌活性は認められなかった。

抗菌活性|葉|枝葉|枝|幹|大腸菌|黄色ブドウ球菌

メラニン生成抑制活性

精油はどの部位も活性を示し、特に幹の精油は強い活性を示した。

残渣も抑制活性を示したが、特に枝と幹で強い抑制活性を示した。

廃液も枝と幹で強い活性を示したことから、この活性を持つ化合物が水蒸気蒸留の過程で原料から廃液に一定程度移行していることがうかがえる。

一方、アロマウォーターはどの部位もメラニン生成を促進する。

培養細胞中メラニン含有率(%)

消臭効果

アンモニアに対しては、どの部位も活性炭と同等の高い効果が認められた。

ホルムアルデヒドに対しては、枝と幹で活性炭に近い消臭効果があり、次いで枝葉、葉の順番に消臭効果が高い。

アセトアルデヒドとメチルメルカプタンに対しては、どの部位も活性炭には及ばず消臭効果は低い。

アンモニア濃度の経時変化|消臭効果
ホルムアルデヒド濃度の経時変化濃度|消臭効果
アセトアルデヒド濃度の経時変化濃度|消臭効果
メチルメルカプタン濃度の経時変化濃度|消臭効果河ぷたん

【原著】「Multiple uses of Essential Oil and By-Products from Various Parts of the Yakushima Native Cedar (Cryptomeria japonica)」

Journal of Wood Chemistry and Technology, 36:1, 42-55

Toshinori Nakagawa, Qinchang Zhu, Hiroya Ishikawa, Koichiro Ohnuki, Kenichi Kakino, Naoya Horiuchi, Hiroaki Shinotsuka,Terumi Naito,Tsuyoshi Matsumoto, Noriko Minamisawa, Mitsuyoshi Yatagai, Kuniyoshi Shimizu.

【要約】「屋久島に自生する杉(地杉)のカスケード的利用法の探索」

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屋久島に自生する杉(地杉)のカスケード的利用法の探索

屋久島産のスギおよび芳香植物の精油成分の利用に関する研究

秋田県立大学木材高度加工研究所

1)屋久島産地杉内装材の香り成分の採集と分析

2)循環型精油定量装置による葉油および材油の成分分析

屋久島産の地杉の利用を目的に、内装材から揮発する香りにどのような成分が含まれているかを調査した。実際に内装材として加工された木材片を実験容器に入れ、容器内の空気を吸引して地杉内装材から揮発する成分を収集。ガスクロマトグラフィを使って分析した。

同時に、屋久島地杉の葉と幹、屋久島のクスノキとヤブニッケイの精油成分を分析した。循環型精油定量装置でそれぞれの部位から精油成分を採集し、ガスクロマトグラフィと質量分析法によって揮発性成分の種類と量を特定した。

分析結果

地杉の内装材からはセスキテルペン類が多く放出されている。中でも多く含まれるのが、α-,β-ユーデスモール、δ-カジネン、α-セドロール、続いて、エレモール、クリプトメリオン。特徴的なのがα-セドロールで、他の種の杉に比べて20倍近い含有量である。またクリプトメリオン、β-ユーデスモールも他の種に比べて含有量が多い。

地杉の葉はモノテルペン類が中心である。特にα-ピネンが突出して多く、他にはサビネン、ミルセン、ツヨプセン、リモネン、テルピネン、エレモール、ユーデスモールなどの含有量が多い。セスキテルペンも数種、ジテルペンのカウレンも一定量含まれているという結果が出た。

地杉材の黒心材には、揮発性成分よりもリグナン類などの高沸点成分が多く含まれると考えられる。

地杉材油・地杉葉油の主要成分組成比

【原著】報告書「屋久島産のスギおよび芳香植物の精油成分の利用に関する研究」

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屋久島産のスギおよび芳香植物の精油成分の利用に関する研究

屋久杉によるチリダニに対する増殖抑制効果の評価

株式会社ペストマネジメントラボ

屋久杉精油によるチリダニに対する忌避効果の評価

屋久島地杉の幹に含まれる成分による各効果を評価するため、ウェットチェンバー内にヤケヒョウヒダニの飼育・活動環境を設置し、抽出された精油あるいはおがくずを用いて試験を行った。

忌避性の観察結果

屋久島地杉の精油はヤケヒョウヒダニに対して忌避効果を示した。経時変化では1時間以内に精油塗布部分の象限の徘徊は皆無になり、対照象限も10%以内。90%以上が1時間以内に粘着紙に捕獲された。

段階の濃度で比較したところでは、原液で100%、1/10から1/1000でも80%から90%のヤケヒョウヒダニが精油を忌避し、1/1000のきわめて低い濃度=1ppmでも高い忌避効果を持つことがわかった。

精油の濃度によるヤケヒョウヒダニ忌避性比較

増殖抑制の観察結果

精油成分を含んだおがくずの中ではチリダニの増殖が抑制されることも判明した。0.5%添加のおがくずでは対照を越える増殖が見られるものもあったが、精油の抽出前、抽出後に関わらず、20%添加の環境、および精油抽出前の乾燥おがくずであれば5%添加でも、対照に比較して増殖は抑制されるという結果が出た。

特に、精油抽出前の乾燥おがくず20%添加の環境では、8週間経過後もまったく増殖が見られなかった。

各種おがくずにおける増殖推移の比較

【原著】報告書「屋久島地杉精油によるチリダニに対する忌避効果の評価」

報告書「屋久島地杉精油によるチリダニに対する増殖抑制効果の評価」

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チリダニに対する増殖抑制効果、忌避効果の評価
皮膚一次刺激性評価試験

皮膚一次刺激性評価試験

株式会社TESホールディングス

屋久島地杉幹精油、屋久島地杉幹アロマ水、屋久島地杉幹パウダーについての皮膚一次刺激性を評価するため、ヒト正常皮膚細胞を培養した細胞モデル(MatTek社製EpiDerm)を用いてMTT試験による細胞生存率の測定を行ない、得られた細胞生存率を基に皮膚一次刺激性を判定した。

試験結果

屋久島地杉幹精油は原体で刺激性、5%PBS希釈で無刺激性を示し、屋久島地杉幹アロマ水、屋久島地杉幹パウダーでは無刺激性を示した。

細胞生存率|皮膚一次刺激性評価試験

【原著】「皮膚一次刺激性評価試験報告書」

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